【配当利回り5.1%】小野薬品工業(4528)|高配当と成長の両立なるか?

配当投資

こんにちは、こつこつ配当パパです。
今回は、がん免疫治療薬「オプジーボ」で知られる【小野薬品工業(4528)】について、配当投資家の視点から分析してみました。

1. 配当利回りと配当方針

項目内容
株価(2025年6月)約1,500円
年間配当80円(予想)
配当利回り約5.1%
配当性向約31%
年平均増配率(10年)約8%
配当政策累進配当
配当性向40%程度
出典:小野薬品IR情報
  • オプシーボの薬価引き下げの影響で株価が下がったため、利回りは5%越え年平均増配率は8%
  • 累進配当を掲げ、配当性向は31%

2. キャッシュフローと配当余力

過去5年の営業キャッシュフローとマージン

年度営業CF(億円)営業CFマージン
202174024%
202261817%
20231,59636%
20241,10722%
202582517%

出典:IR Bank

キャッシュフロー創出力は極めて良好。オプジーボを柱とした収益が潤沢な営業CFを生んでおり、配当余力も十分です。


3. 財務健全性

年度自己資本比率有利子負債比率
202185%1.4%
202289%1.3%
202384%1.2%
202487%1.1%
202574%19%

製薬業界の中でも財務の安定感はトップクラス。配当の安全性という観点では非常に信頼できます。

なお、2025年に有利子負債比率が増加したのはDesaiFera買収、研究開発費の積極投資、マイルストン支払いなどに伴う資金需要増加による1時的なものです。


4. 成長性と今後の展望

1. 主力のオプジーボが引き続き牽引

  • 免疫チェックポイント阻害薬として世界的に採用
  • ブリストルとの提携により海外収益も安定

ただし、特許切れが今後数年以内に控えており、次の収益源の確保が急務です。

2. 海外展開の強化

  • 米国のバイオベンチャー「Deciphera」を2023年に買収
  • 欧米での開発・販売網を獲得し、グローバル展開力が大幅強化

米国Deciphera Pharmaceuticals社買収契約締結に関するお知らせ

この買収により、オプジーボ依存からの脱却を目指す中長期戦略が本格化しています。


5. オプジーボ以外の競争力あるパイプライン

1. キナーゼ阻害剤への展開(Deciphera買収)

  • QINLOCK(Ripretinib):消化管間質腫瘍(GIST)向けの薬剤で40か国以上で販売中。年間売上1.6億USD超。
  • Vimseltinib:腱滑膜巨細胞腫(TGCT)対象。2024年内に承認申請予定。

これらは中期的な収益柱として期待されます。

Deciphera公式製品情報

2. 自社創薬による新免疫療法の開発

  • ONO-4059(BTK阻害薬):脳リンパ腫などで治験中
  • ONO-4578(EP4拮抗薬):胃がん・大腸がんでオプジーボと併用試験
  • ONO-4685:二重特異性抗体によるT細胞リンパ腫治療

また、STINGアゴニストやCAR-T療法など、次世代免疫療法にも積極投資。

研究開発パイプライン

3. がん以外の領域にも挑戦

  • 神経変性疾患、疼痛、自己免疫疾患などへのパイプライン展開も視野に。
分野内容
腫瘍(がん)オプジーボ、BTK阻害薬、EP4拮抗薬など
消化器・軟部腫瘍QINLOCK、Vimseltinib
免疫・疼痛・神経系ONO-1110、ONO-8250などパイプライン拡張中

このように、小野薬品は「ポスト・オプジーボ」に向けた多角的な開発戦略を構築中です。


6. リスク要因

  • オプジーボの特許切れリスク(2028年前後に本格化)
  • 海外市場での競合激化(メルク、ロシュなど)
  • 新薬開発失敗の可能性(製薬業界共通)

とはいえ、潤沢なキャッシュと低リスク体質により、これらリスクにもある程度の耐性があります。


7. まとめと私の投資判断

小野薬品は、

  • オプジーボによる強固なキャッシュ創出力
  • 財務健全性の高さ
  • 多様なパイプラインと海外展開の強化
    という3点から、配当投資家にとっても魅力のある銘柄です。

オプシーボの薬価引き下げの影響により株価が低迷していますが、現在取り組んでいるM&A・パイプラインの強化が実を結べば更なる飛躍が予想されます。また、財務状況は極めて健全です。よって、「配当+中期的な株価成長」のバランスを狙いたい方には候補になり得ます。

私自身は今後のFCFとパイプラインの進捗を追いつつ、押し目を狙って少額から監視枠に入れたいと考えています。現在は1株だけ所有しています。

それではまた次回の銘柄分析でお会いしましょう!


※投資判断は自己責任でお願いします。この記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄を推奨するものではありません


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