米国高配当株が伸び悩む今、配当投資家はどう動くべきか

銘柄分析

はじめに:人気ETFにも“陰り”が?

ここ数年、米国高配当ETFは個人投資家にとって「安心して持てる銘柄」の代表格でした。
しかし2024年以降、SCHD(チャールズ・シュワブ米国高配当株ETF)やJEPQ(JPモルガンNASDAQプレミアムインカムETF)など、人気銘柄の株価が伸び悩んでいます。

実際、2025年10月時点での1年リターンは以下のとおりです。

銘柄2025年のトータルリターン(配当込み)利回り出典
SCHD約+0.05%約3.8%yahoo! finance
JEPQ約+10.2%約10.6%
※4月時点では14%
yahoo! finance

※2025年10月18日時点

「配当はもらえるけれど、評価額が上がらない…」「利回りも伸びない…」
こうした状況に、モヤモヤを感じている方も多いのではないでしょうか。私は感じています(笑)


なぜ今、高配当ETFが伸びないのか

① 金利の高止まりによる“魅力の相対的低下”

米国10年債利回りは、2022年から上昇が続き、2023年秋に一時5%を突破しました。以降おおよそ4%を超えて推移しています。(Trading view)。


4%の安全資産が存在する環境では、「利回り3〜4%の株式」に魅力を感じにくくなります。

② 景気減速懸念とセクター偏り

高配当ETFは金融・エネルギー・通信などディフェンシブ銘柄が多く、景気が減速すると業績が横ばいになりやすい傾向があります。
2025年の予想データを見ると、FactSet は S&P500 全体の通年 EPS 成長率を +9.3 % としており、四半期ごとの見通しも Q3/Q4 で 7%前後の成長を予想しています (FactSet
ただし、2025年 Q2 に限れば、混合(blended)EPS 成長率は 4.8 % と見られており、四半期ベースの成長鈍化も警戒材料です(FactSet


それでも配当投資の魅力は揺るがない

株価が上がらなくても、配当という“現金収入”が得られるのは配当投資最大の強みです。
特に子育て世帯や住宅ローンを抱える家庭では、「少しでも家計を支えるお金が入る」ことが安心感につながります。

たとえば月1万円の配当を得るには、年利5%で約240万円の投資が必要です。
一度に240万円の投資は難しいですが、コツコツ積み上げていけば「達成可能な現実的目標」であり、家計改善と連動した投資法として継続しやすいのです。

『株式投資の未来』から学ぶ、配当投資の普遍的な魅力

私はジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』を愛読しています。この本では、株式投資におけるリターンの源泉として「配当の再投資」が重要であると強調されています。シーゲル氏は、過去200年以上のデータを分析し、株式投資の長期的なリターンの約2/3が配当から得られていると述べています。特に、配当金を再投資することで、複利効果が働き、資産の成長が加速することが示されています。

また、シーゲル氏は「成長の罠」に警鐘を鳴らしています。これは、成長性が高いとされる銘柄に過度に投資することで、期待以上のリターンが得られない可能性があるという警告です。実際、IBMとスタンダード・オイルの比較では、IBMの成長率が高かったにもかかわらず、スタンダード・オイルの方が高いリターンを得ていた事例が紹介されています。これは、投資家が成長性に対して過大な期待を抱き、株価が割高になっていたためです。

これらの知見から、配当投資は安定したリターンを追求する上で有効な手段であり、特に長期的な視点での資産形成において、その魅力は揺るぎないと感じています。


こつこつ配当パパ流・いま取るべき行動

私は、短期的な株価調整局面を「買い場」と捉えています。
配当投資では、利回りが上がったときこそチャンスという考え方が基本です。

今のような相場でも、私は以下の基準で選んでいます。

💡「数年以内に利回り7%以上が見込める高配当株」
💡「数年以内に利回り5%以上が見込めるETF」

後者の代表格としては、JEPQやJEPIなどのオプションプレミアム型ETFが挙げられます。
ただしこれらはキャピタル成長が限定的な点に注意が必要です。

一方、株式個別では通信・公益・金融などの安定配当セクターに着目するのも一手。
たとえばVerizon(VZ)は2025年現在で配当利回り約6.8%(Yahoo! Finance)と依然高水準。
このような銘柄群を少額ずつ拾い、配当の積み上げを狙う戦略が「おだやか配当生活」的スタイルです。


まとめ:配当投資は“安心を買う”投資

高配当ETFが一時的に伸び悩むのは、金利や景気サイクルの影響によるものです。
しかし、家計にとって重要なのは「毎月いくら入ってくるか」というキャッシュフローの安定性です。

配当金は市場が荒れても、あなたの口座に振り込まれる“確実なお金”。
それは、将来の不安をやわらげ、家族の生活を支える「安心料」でもあります。


おだやかに、しかし確実に。
配当は派手さはなくても、家計と心を支えてくれる投資。
今こそ、焦らず・積み上げる時期なのかもしれません。

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