こんにちは、こつこつ配当パパです。
今回は、がん免疫治療薬「オプジーボ」で知られる【小野薬品工業(4528)】について、配当投資家の視点から分析してみました。
1. 配当利回りと配当方針
項目 | 内容 |
---|---|
株価(2025年6月) | 約1,500円 |
年間配当 | 80円(予想) |
配当利回り | 約5.1% |
配当性向 | 約31% |
年平均増配率(10年) | 約8% |
配当政策 | 累進配当 配当性向40%程度 出典:小野薬品IR情報 |
- オプシーボの薬価引き下げの影響で株価が下がったため、利回りは5%越え年平均増配率は8%
- 累進配当を掲げ、配当性向は31%
2. キャッシュフローと配当余力
過去5年の営業キャッシュフローとマージン
年度 | 営業CF(億円) | 営業CFマージン |
---|---|---|
2021 | 740 | 24% |
2022 | 618 | 17% |
2023 | 1,596 | 36% |
2024 | 1,107 | 22% |
2025 | 825 | 17% |
キャッシュフロー創出力は極めて良好。オプジーボを柱とした収益が潤沢な営業CFを生んでおり、配当余力も十分です。
3. 財務健全性
年度 | 自己資本比率 | 有利子負債比率 |
---|---|---|
2021 | 85% | 1.4% |
2022 | 89% | 1.3% |
2023 | 84% | 1.2% |
2024 | 87% | 1.1% |
2025 | 74% | 19% |
製薬業界の中でも財務の安定感はトップクラス。配当の安全性という観点では非常に信頼できます。
なお、2025年に有利子負債比率が増加したのはDesaiFera買収、研究開発費の積極投資、マイルストン支払いなどに伴う資金需要増加による1時的なものです。
4. 成長性と今後の展望
1. 主力のオプジーボが引き続き牽引
- 免疫チェックポイント阻害薬として世界的に採用
- ブリストルとの提携により海外収益も安定
ただし、特許切れが今後数年以内に控えており、次の収益源の確保が急務です。
2. 海外展開の強化
- 米国のバイオベンチャー「Deciphera」を2023年に買収
- 欧米での開発・販売網を獲得し、グローバル展開力が大幅強化
米国Deciphera Pharmaceuticals社買収契約締結に関するお知らせ
この買収により、オプジーボ依存からの脱却を目指す中長期戦略が本格化しています。
5. オプジーボ以外の競争力あるパイプライン
1. キナーゼ阻害剤への展開(Deciphera買収)
- QINLOCK(Ripretinib):消化管間質腫瘍(GIST)向けの薬剤で40か国以上で販売中。年間売上1.6億USD超。
- Vimseltinib:腱滑膜巨細胞腫(TGCT)対象。2024年内に承認申請予定。
これらは中期的な収益柱として期待されます。
2. 自社創薬による新免疫療法の開発
- ONO-4059(BTK阻害薬):脳リンパ腫などで治験中
- ONO-4578(EP4拮抗薬):胃がん・大腸がんでオプジーボと併用試験
- ONO-4685:二重特異性抗体によるT細胞リンパ腫治療
また、STINGアゴニストやCAR-T療法など、次世代免疫療法にも積極投資。
3. がん以外の領域にも挑戦
- 神経変性疾患、疼痛、自己免疫疾患などへのパイプライン展開も視野に。
分野 | 内容 |
---|---|
腫瘍(がん) | オプジーボ、BTK阻害薬、EP4拮抗薬など |
消化器・軟部腫瘍 | QINLOCK、Vimseltinib |
免疫・疼痛・神経系 | ONO-1110、ONO-8250などパイプライン拡張中 |
このように、小野薬品は「ポスト・オプジーボ」に向けた多角的な開発戦略を構築中です。
6. リスク要因
- オプジーボの特許切れリスク(2028年前後に本格化)
- 海外市場での競合激化(メルク、ロシュなど)
- 新薬開発失敗の可能性(製薬業界共通)
とはいえ、潤沢なキャッシュと低リスク体質により、これらリスクにもある程度の耐性があります。
7. まとめと私の投資判断
小野薬品は、
- オプジーボによる強固なキャッシュ創出力
- 財務健全性の高さ
- 多様なパイプラインと海外展開の強化
という3点から、配当投資家にとっても魅力のある銘柄です。
オプシーボの薬価引き下げの影響により株価が低迷していますが、現在取り組んでいるM&A・パイプラインの強化が実を結べば更なる飛躍が予想されます。また、財務状況は極めて健全です。よって、「配当+中期的な株価成長」のバランスを狙いたい方には候補になり得ます。
私自身は今後のFCFとパイプラインの進捗を追いつつ、押し目を狙って少額から監視枠に入れたいと考えています。現在は1株だけ所有しています。

それではまた次回の銘柄分析でお会いしましょう!
※投資判断は自己責任でお願いします。この記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄を推奨するものではありません
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